30代・家庭持ちの履歴書は「ただの書類」じゃない
転職を考えたとき、多くの人がまず手にするのが「履歴書」と「職務経歴書」。
しかし、ここでつまずいて転職活動が長引く人は驚くほど多いんです。
特に30代・家庭持ちとなると、独身の頃とは状況が大きく違います。
- 「住宅ローンを組んだばかりなのに…」
- 「子どもの教育費もあるし、失敗できない…」
- 「公務員から民間へ?安定から飛び出すなんて無謀じゃないか?」
僕自身も、公務員から民間に飛び込み、ライン工、商社営業、IT営業、外資系…と転職を重ねてきました。
そのたびに履歴書・職務経歴書を作り直しましたが、最初は本当に苦戦しました。
同じ経歴なのに「通る履歴書」と「落ちる履歴書」がある。
その差は、「採用担当者にどう伝わるか」 に尽きます。
この記事では、30代・家庭持ちの転職希望者が必ず押さえておきたい 履歴書・職務経歴書の基本と書き方のコツ をまとめました。
さらに、無料で使えるテンプレートも配布します。
第1章:履歴書の基本
履歴書は、採用担当者があなたを最初に判断する「顔」です。
たかが1枚の書類ですが、ここで印象が決まることも少なくありません。
特に30代では、20代のような「ポテンシャル採用」ではなく、「安定感」「経験の活かし方」 が見られます。
だからこそ、書き方に少し工夫が必要です。
1-1. 履歴書に必ず書くべき基本項目
履歴書の基本構成は変わりません。
- 氏名・住所・連絡先
- 生年月日・年齢
- 学歴・職歴
- 資格・免許
- 志望動機
- 本人希望欄
ですが、30代で特に差がつくのは 「職歴」「志望動機」「本人希望欄」 の3つ。
ここを雑に書くと、一瞬で「不採用ボックス」に振り分けられます。
1-2. 学歴・職歴の書き方
✅ 正しい書き方
- 学歴は高校卒業以降を記載
- 職歴は「○○株式会社 入社 → △△部配属」と一行ずつ
- 異動・昇進があれば必ず明記
例:
2012年4月 ○○市役所 入庁 総務課配属
2018年3月 退職
2018年4月 株式会社□□ 入社 営業部配属
2021年10月 株式会社△△ 入社 IT営業部
現在に至る
⚠️ 微妙な例
2012年4月 ○○市役所 入庁
2018年3月 退職
2018年4月〜2021年10月 株式会社□□ 営業
2021年10月〜現在 株式会社△△
👉 一見シンプルで見やすいが、部署や役割が分からない。
30代なら「どんなポジションで、何をしていたか」が必須です。
1-3. 資格・免許の書き方
資格欄は「ただの箇条書き」になりがちですが、30代は戦略的に書く必要があります。
✅ 書くべき資格
- 実務に直結するもの(宅建・簿記・TOEICなど)
- 直近の学習姿勢を示せるもの(ITパスポートなども意外と評価される)
❌ 書かなくていい資格
- 古い普通免許(すでに当たり前)
- 業務と関係ない趣味資格(ダイビングライセンスなど)
例
2019年 TOEIC 875点取得
2020年 ITパスポート試験 合格
2024年 宅地建物取引士 登録予定
👉 ポイントは「年次を入れること」。
「最近も学んでいる人」という印象がつきます。
1-4. 志望動機の書き方(履歴書欄)
履歴書の志望動機欄はスペースが狭いので、職務経歴書との連動 を意識しましょう。
✅ 良い例
「これまで営業職として培った提案力を、御社のITソリューション事業で活かしたいと考えております。特に海外ベンダーとの取引経験を活かし、貴社のグローバル展開にも貢献したいと考えております。」
⚠️ 微妙な例
「御社の社風に共感し、成長できる環境だと思ったため志望しました。」
👉 よくあるパターン。印象に残らない。
1-5. 本人希望欄の使い方
意外と多くの人が「特になし」と書く欄ですが、ここも戦略ポイント。
✅ 有効な書き方
- 「勤務地は首都圏を希望いたします」
- 「育児と両立しつつ成果を出せる環境を希望します」
ただし、あまり細かく条件を書くと「扱いづらい」と思われるので要注意。
最低限の希望だけ簡潔に 書くのがベストです。
1-6. 履歴書のNGチェックリスト
- 写真が3年以上前(印象が古い)
- 空白期間を「自宅待機」とだけ書く(説明不足)
- 修正液・手書きの訂正跡(不誠実に見える)
- メールアドレスが「love-love@…」などプライベート感満載
30代は「信用力」で勝負する年齢。
見た目の印象で損をしないように、履歴書は常に最新・清潔な状態で提出しましょう。
第2章:職務経歴書の基本
30代・家庭持ちが抑えるべき「実績と安定感」
履歴書が「あなたの顔」なら、職務経歴書は「あなたの営業資料」。
採用担当者が「この人を面接に呼ぶか」を決める一番の材料です。
特に30代では、20代の「ポテンシャル採用」と違い、「実績」と「安定感」 が問われます。
つまり、「何をやってきて、どう成果を出したか」「今後どんな価値を提供できるか」を具体的に示す必要があります。
2-1. 職務経歴書の基本フォーマット
大きく3つの型があります。
- 編年体式(時系列で経歴を並べる)
- 特徴:もっとも一般的。新卒から順番に書く。
- 向いている人:転職回数が少なく、キャリアが一貫している人。
- 逆編年体式(直近の職歴から逆に書く)
- 特徴:新しい経験・実績を最初に見せられる。
- 向いている人:直近の経歴をアピールしたい人。
- 職種別(キャリア式)
- 特徴:職種やスキルごとに区切って実績を書く。
- 向いている人:異業種・異職種へのキャリアチェンジを狙う人。
👉 30代・家庭持ちの転職なら、「逆編年体式」が最もおすすめ。
採用担当者は「直近で何をしてきたか」に強い関心を持つからです。
2-2. 書き方の基本構成
職務経歴書の基本構成は以下のとおり。
- 職務要約(キャリア全体のサマリー)
- 職務経歴(会社ごとの業務内容・実績)
- 活かせる経験・知識・スキル
- 自己PR
2-3. 職務要約の書き方
✅ 良い例
「2012年に公務員としてキャリアをスタートし、その後製造現場、商社営業を経て、直近ではIT業界にて法人営業を担当。特に海外ベンダーとの折衝経験や英語力を活かし、前年比120%の売上を達成。営業スキルとマネジメント経験を活かし、貴社に貢献できると考えております。」
⚠️ 微妙な例
「これまで営業や事務など幅広い業務を経験してきました。柔軟に対応できる点が強みです。」
👉 一見良さそうに聞こえるが、幅広すぎて何が得意かわからない。30代では「強みの一点突破」が必要。
2-4. 職務経歴の書き方(会社ごと)
構成イメージ
【会社名】株式会社〇〇
【在籍期間】2018年4月~2021年9月
【雇用形態】正社員
【職務内容】法人営業(既存顧客担当)
◆担当業務
- 中小企業向けにITソリューションを提案
- ベンダーとの価格交渉・納期調整
- 新規顧客開拓(月平均2件)
◆実績
- 前年対比120%の売上達成(2020年度)
- 新規開拓顧客10社、年間売上5,000万円増加
- 社内営業表彰「新人賞」受賞
👉 ポイントは 「業務内容」と「実績」を分けること」。
採用担当者は「何をやったか」より「どんな成果が出たか」に注目します。
2-5. 実績は「数字」で書く
❌ 悪い例
「お客様に信頼される営業を心がけ、売上に貢献しました。」
👉 抽象的で誰にでも言える。
✅ 良い例
「主要顧客20社を担当し、年間売上2億円を維持。新規開拓10社により前年対比120%を達成。」
👉 数字にするだけで「再現性がある人材」に見える。
2-6. 活かせる経験・知識・スキル
この欄では、30代ならではの「積み上げ」を示します。
例
- 法人営業経験 8年(商社・IT業界)
- 海外ベンダーとの折衝経験(英語使用)
- マネジメント経験(5名のチームをリード)
- ITパスポート・宅建・TOEIC875
👉 「経験+年数」「成果+スキル名」で書くと説得力UP。
2-7. 自己PRの書き方
✅ 良い例
「これまで一貫して営業職に携わり、特にIT業界では英語を活かした海外ベンダーとの交渉を担当してきました。成果として前年比120%の売上増加を実現し、チームリーダーとして5名のマネジメント経験も積んでおります。今後はこれらの経験を活かし、貴社の成長分野で新規顧客開拓・既存顧客深耕の両面で貢献したいと考えております。」
⚠️ 微妙な例
「人と話すのが好きで、営業の仕事にやりがいを感じています。今後もスキルアップしながら活躍していきたいです。」
👉 熱意は伝わるけど、30代に求められる「実績」「再現性」が抜けている。
2-8. 30代・家庭持ちが強調すべきポイント
家庭持ちだからこそアピールできる「安定感」も武器になります。
- 「長期的にキャリアを築きたい」
- 「生活基盤が安定しているため、腰を据えて働ける」
- 「家庭を持ちながら成果を出してきた」
👉 採用担当者は「30代=腰掛けかも?」と疑うこともあるので、むしろ安定感を強みに変える。
まとめ|職務経歴書は「実績×安定感」の証明書
30代・家庭持ちが職務経歴書を書くときの鉄則は3つ。
- 実績は必ず数字で書く
- 最新のキャリアから逆編年体で書く
- 家庭持ち=安定感をプラスに活かす
履歴書が「入口の切符」だとすれば、職務経歴書は「合格を引き寄せる武器」。
この2つをセットで磨き込むことが、転職成功の第一歩になります。
第3章:実際のサンプル文(営業/事務/IT)
ここからは、実際に使える 職務経歴書サンプル を紹介します。
30代・家庭持ちが転職を考えるときに多い職種をピックアップしました。
3-1. 営業職のサンプル(商社 → IT営業)
【職務要約】
公務員として社会人キャリアをスタート。その後、製造業の現場経験を経て、専門商社の営業職に従事。直近ではITソリューション営業として法人顧客を担当し、海外ベンダーとの折衝や英語を活かした提案活動を実施。営業成果として前年比120%の売上増加を達成。
【職務経歴】
◆株式会社〇〇商社(2018年4月~2021年9月)
法人営業(産業機械部門)
- 既存顧客20社を担当、新規開拓10社を獲得
- 年間売上1.5億円を担当、前年比110%を達成
- 社内QCサークル活動に参加し、業務効率化を提案
◆株式会社△△(2021年10月~現在)
ITソリューション営業
- 海外ベンダーとの契約交渉・価格調整を担当
- 新規顧客開拓で年間売上5,000万円増加
- 2023年度 社内営業表彰「新人賞」受賞
【活かせる経験・スキル】
- 法人営業経験7年(商社・IT)
- 英語での折衝経験(TOEIC875)
- 提案型営業・課題解決型営業の実績
- チームマネジメント経験(5名)
【自己PR】
一貫して営業職に携わり、特にIT業界では海外ベンダーとの折衝を通じてグローバルな提案経験を積みました。これまでの経験を活かし、貴社の事業拡大に貢献したいと考えております。
3-2. 事務職のサンプル(キャリアチェンジ)
【職務要約】
商社営業職として取引先との契約・納期調整を担当。その中で、バックオフィス業務に関心を持ち、Excelを活用した資料作成・売上管理などを自ら進んで実施。転職後は事務職として正確性とスピードを武器に業務改善に取り組みたい。
【職務経歴】
◆株式会社〇〇商社(2018年4月~2021年9月)
営業職
- 取引先50社の契約・納期調整を担当
- 見積書・契約書の作成、売上管理を実施
- Excelで売上管理シートを自作し、月次処理を30%効率化
【活かせる経験・スキル】
- 契約書・見積書作成の実務経験
- Excel関数(VLOOKUP・ピボット)を用いた業務改善
- 顧客折衝・調整スキル
【自己PR】
営業職の経験を通じて、正確かつ迅速に事務処理を行う能力を磨いてきました。特にExcelを活用した効率化は周囲から高く評価されており、事務職として貴社の業務改善に貢献したいと考えております。
👉 事務職へのキャリアチェンジを狙う場合でも、営業での「事務的実務」を拾って書き出すのがポイント。
3-3. ITエンジニアのサンプル(スキル中心)
【職務要約】
ITソリューション営業を担当する中で、システム導入の要件定義やエンジニアとの調整を経験。独学でプログラミング(Python・SQL)を学び、社内業務の自動化ツールを構築。今後はエンジニアとしてキャリアを築きたい。
【職務経歴】
◆株式会社△△(2021年10月~現在)
ITソリューション営業
- 顧客ヒアリングを通じた要件定義を担当
- 社内SEと連携し、システム導入案件10件を成功に導く
- Pythonを用いた売上レポート自動化ツールを構築(業務時間を月10時間削減)
【活かせる経験・スキル】
- Python・SQLを用いたデータ処理
- Excelマクロによる業務効率化
- 要件定義・顧客ヒアリングスキル
【自己PR】
営業職で培った課題解決力と、独学で習得したプログラミングスキルを組み合わせ、顧客のニーズに応えるシステム提案を実現してきました。エンジニアとしても現場に寄り添った開発を行い、御社の業務改善に貢献したいと考えています。
3-4. 「惜しい例」から「改善例」へ
最後に、よくある「惜しい職務経歴書」の例を紹介します。
❌ 惜しい例
「営業職として顧客対応を担当しました。信頼を得て売上に貢献しました。」
✅ 改善例
「法人顧客30社を担当し、既存顧客維持率95%を達成。新規開拓5社を獲得し、前年対比120%の売上増加に貢献。」
👉 同じ事実でも、数字を入れるだけで説得力が3倍増しになります。
まとめ|サンプルをベースに、自分の言葉で肉付けを
- 営業職は「数字・顧客数」
- 事務職は「正確性・効率化」
- IT職は「スキル・成果物」
それぞれ切り口が違いますが、共通するのは 「抽象ではなく具体で語ること」。
このサンプルをそのまま使うのではなく、あなた自身の経験に数字や具体例を当てはめて調整することで、一気に「通る書類」に変わります。
第4章:無料テンプレート配布+使い方ガイド
ここまで「履歴書」「職務経歴書」の書き方を解説してきましたが、
「結局ゼロから作るのは大変…」という方も多いと思います。
そこで本記事では、僕自身が実際に使ってきたフォーマットをベースにした 無料テンプレート を用意しました。
ダウンロードしてそのまま使うもよし、Google Docsで編集してもよし。
4-1. 提供するテンプレート一覧
- 履歴書テンプレート(Word/PDF/Google Docs)
- JIS規格準拠の基本型
- 学歴・職歴欄を広めに確保
- 「本人希望欄」には勤務地や勤務時間の希望を簡潔に書ける - 職務経歴書テンプレート(Word/PDF/Google Docs)
- 逆編年体式(直近の職歴を最初に書ける)
- 実績欄と業務内容欄を分けて記入可能
- 自己PR欄付き
👉 Word/PDFは印刷してそのまま提出可能。
👉 Google Docsはオンライン編集に対応しているので、スマホからでも修正できるのが便利です。
4-2. テンプレートの使い方ガイド
ステップ1:自分のキャリアを棚卸し
- Excelやノートに「会社名・在籍期間・業務内容・成果」をすべて書き出す。
- 数字(売上・件数・達成率)を必ずメモしておく。
ステップ2:テンプレートに当てはめる
- 履歴書には「経歴の全体像」を
- 職務経歴書には「成果と実績」を
👉 2つをセットで提出することで、説得力が増します。
ステップ3:仕上げチェック
- 誤字脱字はNG(家庭持ち=信用第一)
- フォントや余白が崩れていないか確認
- PDFで保存して送付するのが安心
4-3. ダウンロードリンク(例)
- [履歴書テンプレート(Word版)]
- [履歴書テンプレート(PDF版)]
- [履歴書テンプレート(Google Docs版)]
- [職務経歴書テンプレート(Word版)]
- [職務経歴書テンプレート(PDF版)]
- [職務経歴書テンプレート(Google Docs版)]
(※ここは実際のブログ公開時にダウンロード可能リンクを設置する想定です)
まとめ|テンプレートは「土台」、磨くのは自分の経験
履歴書・職務経歴書は、転職活動の第一関門。
でも大事なのは、フォーマットそのものより「どう書くか」。
- 数字で成果を示す
- 30代・家庭持ちなら「安定感」を強調する
- テンプレートはあくまで土台。自分の経験を肉付けしていく
これを意識するだけで、通過率は大きく変わります。
「テンプレを使ってとりあえず提出」ではなく、
「テンプレを使って最短で仕上げ、自分の強みを磨き込む」。
それが、30代転職成功の近道です。
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