夜の間、子どもを見られる人がいない。育児で夜勤を続けるのが難しいときは、退職を決める前に「深夜業の制限」の対象になるかを会社へ確認しましょう。小学校に入る前の子を育てる人について、条件を満たせば22時〜翌5時の勤務を制限できる制度です。
ただし、夜勤シフト全体の免除や日勤への配置まで保証する制度ではなく、転職直後には法定の対象から外れる場合もあります。最初に確かめたいのは、制度の対象、実際に働く時間、変わる給与の3つ。今の仕事を続けられるか、家族の予定と合わせて見ていきます。
制限するのは22時〜翌5時。「夜勤なし」とは分けて確認する
育児のための深夜業の制限は、所定の勤務時間の中に深夜勤務がある場合にも、残業が深夜に及ぶ場合にも関わる制度です。対象となる人が請求すると、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、会社は22時〜翌5時に働かせることができません。
一方、家庭で必要なのは「夕方のお迎えに間に合うこと」かもしれません。22時より前の勤務や翌5時以降の勤務も難しいなら、深夜業の制限だけで解決するとは限らないため、始業・終業時刻や日勤への配置を別に相談します。
定時後の勤務をなくしたい場合は育児の残業免除、所定の勤務時間自体を短くしたい場合は育児時短勤務が別の確認先です。制度名が似ていても、対象条件や手続きは同じではありません。
制度の概要:厚生労働省「深夜業の制限」(2026年10月27日確認)。
入社1年未満や同居家族の状況を、人事に確かめる
法定制度は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する人が対象です。ただし、次のいずれかに当たる人は対象外となります。パートや有期契約という名称だけで除外されるわけではありません。
| 確認すること | 対象外の条件・見落としやすい点 |
|---|---|
| 雇用の形 | 日々雇用される人。期間を定めた契約というだけで、日々雇用に当たるとは限らない。 |
| 勤続期間 | 同じ事業主での継続雇用が1年未満の人。 |
| 勤務日数 | 週の所定労働日数が2日以下の人。 |
| 契約上の時間帯 | 所定労働時間の全部が22時〜翌5時の中にある人。「夜勤の回数が多い」だけとは違う。 |
| 同居家族 | 深夜に通常、子どもの保育ができる同居家族がいる人。家族が同居しているだけで決めず、下記の条件を照合する。 |
深夜業の制限では、勤続1年未満・週2日以下の除外に労使協定は必要ありません。入社1年未満を除外する労使協定があるかで扱いが変わる「残業免除」と、ここを混同しないようにしてください。
「家族が同居している」だけで諦めない
保育ができる同居家族とは、16歳以上で、次の条件をすべて満たす人です。配偶者や祖父母が同居していても、勤務や体調などの確認が必要です。
- 深夜に就労していない。深夜の就労が月3日以下の場合も含む。
- 負傷・疾病・心身の障害などで、子どもの保育が困難な状態ではない。
- 出産予定まで6週間以内(多胎妊娠では14週間以内)ではなく、産後8週間以内でもない。
家庭の事情を職場全体へ詳しく説明する必要はありません。人事などの指定窓口に、判定に必要な情報と提出方法を確認します。対象外と分かっても、会社独自の夜勤免除や日勤配置まで利用できないと決まるわけではないので、そちらも分けて聞いてください。
対象条件の詳細:厚生労働省「深夜業の制限・用語辞典」「育児・介護休業法のあらまし・深夜業の制限(94〜96ページ、PDF)」(2026年10月27日確認)。
会社には、対象・開始日・勤務の組み方の順に聞く
最初に人事などの制度窓口へ対象条件と提出先を確認し、そのうえで上司と勤務の組み方を相談します。上司が窓口を兼ねる会社では、その社内手順に沿って進めましょう。
- 対象条件:子の年齢、勤続期間、勤務日数・時間帯、同居家族について確認する。法定制度と会社独自の制度を分けて聞く。
- 開始日と手続き:希望する期間、社内様式、提出先、必要書類を確認する。法定制度は1回につき1〜6か月の期間を定め、開始日の1か月前までに請求する。繰り返し請求できる。
- 実際の勤務:始業・終業、日勤への配置、引き継ぎ、給与の扱いを確かめる。制度開始までの勤務は、別に調整を相談する。
- 家庭の準備:確定した時間で送迎・夕食・就寝までの担当を決める。家族の出張や子どもの体調不良が重なる日の代替も話しておく。
請求は原則書面で行い、会社が認める場合にはメール等も使えます。開始まで1か月を切っている場合は、早い開始や暫定的なシフト変更に対応できるかを相談してください。「明日から必ず夜勤を外せる」とは考えず、実際に変更できる日を確認します。
人事への問い合わせ文
育児のため、22時から翌5時の勤務が難しくなり、「深夜業の制限」の利用を確認したいです。希望期間は[開始日]から[終了日]です。対象条件、申請様式と提出先、必要書類を教えていただけますか。あわせて、利用中の勤務時間・給与と、開始までの勤務調整について相談したいです。
この文面は問い合わせ用です。送信しただけで正式な請求が済むとは限りません。手続き後は、いつからどの勤務になるかと、次回の請求期限を手元に残しておきましょう。子どもの就学などで法定の制限期間が終了する場合もあるため、終了日を確認してください。
請求方法・期限・終了事由:厚生労働省「深夜業の制限(95〜96ページ、PDF)」(2026年10月27日確認)。会社へ聞く順番と文面は編集部の提案です。
家計は、夜勤手当を含む月給から一度切り分ける
夜勤を減らせれば、家庭の夜の負担は変わります。ただ、今までの総支給額が続くとは限りません。給与明細の基本給、深夜割増、会社独自の夜勤手当を分け、変更後の見込み額を会社に聞いてください。賞与への影響や、勤務時間そのものが変わるかも確認します。
法定の深夜割増は、実際に22時〜翌5時に働くことに対する賃金です。一方で、深夜業の制限を請求・利用したことを理由に解雇などの不利益な扱いをすることは禁止されています。「手当が変わること」と「制度利用への不利益な扱い」は同じではありません。不明な減額は、理由と計算方法を確かめましょう。
給与・不利益取扱いの根拠:厚生労働省「アルバイトをする前に知っておきたいポイント・深夜の割増賃金」「不利益取扱いの禁止(131〜133ページ、PDF)」(2026年10月27日確認)。
編集部では、会社の給与見込みが分かってから、保育・交通などの支出の変化と家族の分担を並べることを勧めます。減る手当だけでなく、夜間の預け先にかかる費用や、家族が勤務を減らさずに済むかも確認すると、世帯全体で続けられるかを考えやすくなります。
調整が難しいときも、退職の前に理由と選択肢を確かめる
会社に利用が難しいと言われたら、対象条件から外れるのか、業務上の事情なのかを分けて聞きます。「事業の正常な運営を妨げるか」は、業務内容や繁閑、代替要員の配置などを踏まえて客観的に判断するもので、会社には請求どおりに利用できるよう相当の努力が求められます。
制度は同等の日勤を新たに確保することまで義務づけるものではありません。ただし、就ける同職種の日勤が十分あるのに、制度利用への懲罰として無給休業にするような扱いは問題になり得ます。説明に疑問が残るときは、退職や契約変更を即断せず、労働局の雇用環境・均等部(室)へ相談してください。
会社の対応に関する説明:厚生労働省「深夜業の制限(94ページ、PDF)」(2026年10月27日確認)。個別の適法性をこの記事だけで判断するものではありません。
今の会社で必要な時間帯に働け、家計と家庭の分担も成り立つなら、転職を急ぐ必要はありません。まず制度利用後の勤務を確認しましょう。法定の対象外の場合も、会社独自の夜勤免除、配置や勤務時刻の調整について、できることと難しいことを確かめます。
別の勤務先も比較したい場合
現職で調整しても夜の育児を担えず、日勤の仕事を探すなら、先に「働ける時間帯・通勤範囲・維持したい収入」を整理します。夜勤から日勤へ転職する際の条件確認で、求人や内定時に聞くことを確かめてください。
求人条件の確認を相談したい場合は、希望する職種・地域に対応する窓口を選びます。
比較記事には広告を含みます。各サービスの紹介で対象者・支援内容・利用前の注意を読んでから、公式案内へ進んでください。夜勤のない求人や同じ収入を保証するものではなく、条件が合わなければ登録・応募を見送れます。
今日の一歩は、人事に対象条件と利用開始日を聞くことです。勤務の回答が出たら、家族とはその時間で夜の育児が回るかを確認する。退職を先に決めず、今の会社で続ける場合と、別の勤務先を選ぶ場合の条件を並べて判断しましょう。
編集:転職レベルアップ編集部。制度の確認日:2026年10月27日。法制度の説明と、会社・家族へ確認するための編集部提案を分けています。会社が法律より広い対象や手厚い制度を設けている場合は、勤務先の最新規程も確認してください。
