定時までなら働ける。でも、夕方に仕事が延びると保育園のお迎えに間に合わない。そんなときは、時短勤務だけでなく育児のための「所定外労働の制限(残業免除)」も確認したい制度です。所定の勤務時間を短くする制度とは違い、その時間を超える労働を制限します。
転職直後に使えるかは、子の年齢に加え、入社1年未満の人を対象外とする労使協定があるかで変わります。まず人事に制度名を伝え、対象条件と利用開始までの手続きを確かめましょう。「育児中だから今日から残業なし」と自己判断せず、最初に必要な日から逆算して調整します。
時短・残業免除・残業の上限は、分けて考える
「残業を減らしたい」とだけ伝えると、会社と本人で思い浮かべる制度が違うことがあります。毎日の退勤時刻を守りたいのか、月の残業を減らしたいのか。先に困っている場面を絞ると、確認しやすくなります。
| 制度 | 変わること・確認したい場面 |
|---|---|
| 所定外労働の制限 (残業免除) | 所定の勤務時間を超える労働を制限する。定時退勤なら送迎できる人が、まず確認したい選択肢。 |
| 時間外労働の制限 | 法定時間外労働の上限を月24時間・年150時間とする。毎日定時に帰れることとは違う。 |
| 育児の短時間勤務 | 原則3歳未満の子について、所定の勤務時間そのものを短くする。3歳から就学前は、会社が用意する柔軟な働き方の措置に短時間勤務が含まれるか確認する。 |
残業免除と時間外労働の制限は、小学校に入る前の子を育てる人が対象となる制度ですが、請求できる条件は同じではありません。会社が月24時間・年150時間より少ない上限を定めている場合は、そちらの上限を確認します。短時間勤務も含め、会社が法律より広い対象・手厚い内容を設けている場合は、その規程も確認してください。
制度の概要:厚生労働省「所定外労働の制限」「時間外労働の制限」「短時間勤務等の措置」「柔軟な働き方を実現するための措置」(2026年10月25日確認)
この記事では、フルタイムの所定時間は働けるものの、残業が難しい場合を中心に扱います。勤務時間を短くする必要があるなら、転職直後の育児時短勤務の確認順を先に読んでください。
入社1年未満でも、残業免除を使える場合がある
所定外労働の制限では、入社1年未満の人が一律に対象外になるわけではありません。継続雇用1年未満の人、週の所定労働日数が2日以下の人を対象外にする労使協定がある場合に、除外されることがあります。日々雇用される人は法定制度の対象外です。
一方、月24時間・年150時間の時間外労働の制限では、日々雇用される人、継続雇用1年未満の人、週の所定労働日数が2日以下の人は法定制度の対象外です。同じ「入社1年未満」でも、制度によって扱いが違います。利用したい制度名を伝えて、人事に確かめましょう。
入社先で確認するのは、「育児支援制度はありますか」よりも、今回使いたい制度の対象条件です。試用期間という名称だけで判断せず、雇用期間・所定労働日数・会社の規程と協定を確認します。管理監督者に当たるかなど、勤務上の立場で判断が分かれる場合も、人事へ具体的に確かめてください。
対象条件・制度の区別:厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」所定外労働の制限(79〜81ページ、PDF)/時間外労働の制限(84〜86ページ、PDF)(2026年10月24日確認)
会社には、対象条件・開始日・仕事の段取りの順に聞く
人事に確認してから、上司と退勤前の引き継ぎを決める
はじめに人事などの制度窓口へ対象条件と申出先を確認し、上司とは会議や締切、終業後に来る依頼の扱いを話します。窓口が上司に統一されている会社では、その手順に沿ってください。対象になるかの確認と、毎日どう働くかの調整を分けるのがポイントです。
問い合わせ文の例
育児のため、所定の終業時刻以降の勤務が難しく、「所定外労働の制限」の利用について確認したいです。入社1年未満の扱いを含む対象条件、申出様式と提出先、利用開始可能日を教えていただけますか。希望期間は[開始日]から[終了日]です。業務の引き継ぎや夕方の会議についても、上司と相談したいと考えています。
この文面は確認用です。送っただけで正式な請求が済むとは限らないため、会社指定の手続きを確認してください。子どもの情報や証明書は、必要な内容と提出先を聞いてから、会社所定の方法で渡します。
開始の1か月前を目安ではなく、手続きの期限として確認する
法定の残業免除は、開始予定日の1か月前までに、1か月以上1年以内の期間を定めて請求します。利用回数の上限はありません。入社初日から必要なら、内定後の条件確認の段階で、入社前に受け付けられる手続きと実際の開始日を確認してください。
すでに入社していて送迎が回らない場合は、手続きの完了まで何も相談できないわけではありません。開始までの勤務の調整と家庭の代替送迎を、早めに別々に相談します。会社独自の対応ができるかは、法定制度を直ちに使えるかとは区別してください。
残業免除と時間外労働の制限は、請求する期間が重ならないように扱われます。両方を出せば安心、とは考えず、必要な働き方に合う制度名と期間を人事に確かめましょう。短時間勤務と残業免除の期間を重ねることは可能で、こちらは別の扱いです。
請求期限・期間・重複の扱い:厚生労働省「所定外労働の制限(80ページ、PDF)」(2026年10月24日確認)
家族とは、退勤時刻と残業代を見込まない家計を確認する
制度を使えても、定時が遅かったり通勤に時間がかかったりすれば、送迎の問題は残ります。編集部では、制度名より先に「何時に職場を出られれば間に合うか」を家族で共有することを勧めます。
- 送迎の時刻:職場から園までの移動、遅延時の余裕、引き取りに必要な時間を足して、退勤の限度を決める。
- 家計:給与明細の基本給・手当・残業代を分け、残業代を見込まない月に生活費が足りるかを見る。
- 分担:担当する曜日と、家族の出張や子どもの体調不良が重なった日の代替手段を決める。
フルタイムの所定時間を維持することと、今までの総支給額がそのまま続くことは別です。残業代や勤務に連動する手当の扱いは給与規程を確認し、固定残業代がある場合も「免除なら全額そのまま」「必ず減る」のどちらにも決めつけないでください。固定残業代を含む月給の見方で、確認する項目を整理できます。
通勤時間は駅から駅まででは足りません。職場を出てから園で引き取るまでを見直すなら、送迎を含めて勤務先を比べる手順も使ってください。
使えないと言われたら、理由と代わりの調整を分けて聞く
対象条件から外れるという回答なのか、業務上の事情で希望どおりの利用が難しいという回答なのか。まず根拠となる規程や事情を確認します。「忙しいから」という説明だけで、法律上の扱いまで自己判断する必要はありません。
法制度では、事業の正常な運営を妨げる場合に請求を拒める例外があります。ただし厚生労働省は、業務内容や繁閑、代替要員の配置などから客観的に判断し、単に残業が必要という理由だけで拒むことはできないと説明しています。説明に疑問があるときは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)へ相談できます。
法的な扱いの確認とは別に、夕方の会議を前倒しする、締切のある作業を引き継ぐ、勤務時刻をずらせるか検討するなど、目の前の勤務も相談します。フレックスを検討するなら、制度があるだけで送迎に合うとは限りません。コアタイムや入社直後の使い方を確認する記事も参考にしてください。
次にすることは、「利用できる日」と「帰れる時刻」の確認
まず人事への確認を一つ済ませましょう。制度の対象か、いつから利用できるか、所定の終業時刻は何時か。この3点が分かれば、家庭で準備する期間と、上司に相談する内容が見えてきます。
現在の会社で必要な時刻に帰れ、家計も維持できるなら、転職を急ぐ必要はありません。内定先から回答待ちの場合も、まずその条件を確認します。制度の説明だけでは解決しない労務上の疑問は、公的窓口での相談を優先してください。
勤務条件を満たす転職先も検討したい場合
所定の勤務時間・通勤・入社直後の制度利用を見直しても送迎が成り立たず、別の勤務先を検討するなら、相談先が希望職種や地域に対応するかを比較します。「残業少なめ」だけで選ばず、必要な退勤時刻と利用開始日を求人ごとに確認してもらえるかを確かめてください。
比較記事には広告を含みます。希望する求人の紹介や、入社直後の制度利用を保証するものではありません。条件が合わなければ登録・応募を見送れます。
相談するときは「残業できません」だけでなく、働ける時間帯、勤務地、家計に必要な収入、調整できる条件を一緒に伝えましょう。会社が回答したことと、まだ確認できていないことを分けておくと、求人の比較で同じ行き違いを繰り返しにくくなります。
編集:転職レベルアップ編集部。制度の出典確認日:2026年10月24日、対象条件と柔軟な働き方の措置は10月25日に再確認。制度説明は本文に示した厚生労働省の一次資料に基づきます。会社への確認順・家計や送迎の整理方法は編集部の提案です。個別の適用は会社の規程・労使協定等を確認し、判断に迷う場合は公的窓口へ相談してください。
