講座を受けたのは1か月間。転職活動を始めたのは、出産を経て約1年後でした。
学び直した人は、何を変えたくて、どんな助けを借りたのでしょうか。子育て中に学んだ谷さんと、仕事を続けながら別の職種へ移った2人の経過をたどります。
経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」の公開インタビューをもとにした記事です。当編集部による直接取材ではありません。年齢・職歴は取材当時のものです。
派遣から正社員へ 谷さんが学ぶ時間をつくった方法
38歳の谷さんは、派遣の契約が終わった後、次の仕事が見つかるかという不安から、正社員を目指しました。第二子を妊娠し、上の子の育児や家事もある時期に、オンラインで学び始めます。
選んだ講座では、前職から関心のあった作業の自動化などを学びました。説明の後に例題を操作でき、学習に熱中。集中したいときは夫に子どもの世話を頼みました。
転職活動では、子育ての事情も踏まえた企業との調整や、書類・面接の支援を受けました。取材時には建設業の正社員事務職として働いていると紹介されています。
自宅で受けられる講座にも、手を離せない時間はある
自宅で学べることと、子どもを見ながら学べることは同じではありません。
自分の予定に置き換えるなら、授業中や課題に取り組む間、誰が子どもの対応をするかまで話しておきたいところです。交代が難しければ、録画を止めながら進められるか、欠席した回を振り替えられるかが講座選びの判断材料になります。
まず時間が取れるかを考えたい方は、仕事・子育てと学習時間を両立するための予定の組み方も参考にしてください。
相談してみたら、目指す仕事が変わった
31歳の鈴木さんは、少人数の会社で幅広い業務を担っていました。もっと得意な領域に力を注ぎたい。休日が不定期な働き方も変えたい。そう考えて転職を決めます。
当初の関心は、デジタルマーケティングやプログラミングでした。ところが、これまでの経験を振り返るキャリア相談で候補になったのは、コンサルタントです。その提案を受けて学ぶ方向を決めました。
前職を続けながら3か月受講し、4か月目にSalesforceの認定資格を取得。週1回の面談で学習の進み具合を確認し、転職先の選び方や面接についても相談しました。その後、データ分析コンサルタントへ転職し、本人は仕事と休みを切り替えられるようになったと話しています。
何を学ぶか迷っているなら、講座の一覧を見る前に、今の仕事で任されていることや変えたい働き方を相談してみる方法があります。資格名を一つ決めてからでなくても、相談は始められます。
資格を取るべきかまだ決められない場合は、転職前に資格が必要かを判断する記事へ。受講を決める前に、応募したい仕事とのつながりを見ておけます。
忙しい時期に、受講日程を変えてもらえた
29歳の男性は、情報系の専門学校とSES企業での勤務を経て、製造業で働いていました。高校時代から希望していたITエンジニアを目指し、Javaを半年間学び直します。
働きながらの受講で難しかったのは、仕事が忙しい時期の時間確保でした。本人が助かった点として挙げているのは、進み具合に合わせて日程を調整してもらえたこと。授業で分からないところは、チャットでも質問できました。
転職相談では関西で働きたいという希望を伝え、複数の企業を紹介してもらっています。転職後は、店舗などで使うシステムの開発・保守・運用を担当しています。
出典:事業公式インタビュー 29歳男性のITエンジニアへの転職
毎週必ず同じ時間を空けられるとは限らない。そんな人にとって、欠席や遅れをどう扱ってもらえるかは、授業内容と同じくらい大事な質問です。ただし、紹介した日程調整がほかの講座でもできるとは限りません。受講前に、振替の回数と修了期限を聞いておくと判断しやすくなります。
この男性には、受講前からITを学んだ経験がありました。初めてIT職を検討する方は、未経験からのIT転職で準備することから読むと、目指す仕事と必要な勉強を考えやすくなります。
補助後の金額だけでは、家計の予定は立てられない
3人が利用した事業は、キャリア相談、講座、転職支援をまとめて受ける仕組みです。登録時と初回面談時に在職していて、別の雇用主への転職を目指す人が対象になります。厚生労働省の教育訓練給付とは別の制度です。
受講費用は事業者を通じて軽減されます。ただし、講座修了による分と、所定の職業紹介などの経路で転職し、転職先で1年間働いたことを確認できた場合の追加分では、条件が違います。
家計の予定に入れるなら、まず聞きたいのは契約時にいくら払い、いつ、どの条件で負担が軽くなるのかです。広告にある補助後の金額だけで予算を決めないようにしてください。今回の3人が実際に軽減された金額や時期は、公開インタビューからは分かりません。
出典:事業公式の対象条件・費用軽減の説明。申込みを考える段階では、在職者向けリスキリング支援の確認ガイドで、自分の雇用状況と講座の条件を照らし合わせられます。
最初の相談には、困っていることを持っていく
受講料のほかに、授業の時間、課題の量、紹介を受けられる仕事。説明を聞くときには、気になることがいくつも出てきます。家族がいるなら、次の二つは先に話しておきたいところです。
- 授業や課題の時間に、家事・送迎を誰が引き受けるか。
- 転職先の勤務時間や勤務地を、今の生活からどこまで変えられるか。
まだ仕事の方向から迷っている方は、資格・学び直しガイドをご覧ください。資格が必要か、公的支援を使えるか、学ぶ時間が取れるか。今つまずいているところから読めます。
相談しても、すぐに受講を決める必要はありません。必要な費用や時間を聞いたうえで、今の暮らしで続けられるかを持ち帰って考えれば十分です。
転職レベルアップ編集部。出典確認日:2026年10月18日。紹介した3件は事業公式の転職事例で、利用者全体の結果を示すものではありません。家族との両立についての解説は編集部が加えています。
