結論からいうと、育休中でも応募や面接、内定まで進めることはできます。 ただ、退職して新しい会社で働き始めると、今の会社の育休と在籍は終了し、そのまま新しい会社へ引き継がれるわけではありません。育児休業給付や社会保険料の免除、保育園の認定にも影響します。とはいえ、全員がいったん復職してから辞める必要があるわけではありません。退職を決めた時期、子どもの年齢、次の会社で育休・時短を使うか、自治体のルールを順番に確認して、無理のない退職日と入社日を決めていきましょう。
※この記事は、2026年8月21日に公式情報を確認して作成した一般的な案内です。個別の支給決定や保育認定を保証するものではありません。
まずは3問。自分に必要な確認先を見つけよう
制度の説明を最初から全部読むと、少し疲れますよね。まずは、今の状況に近い答えを選んでみてください。
Q1. 今は「応募・面接だけ」ですか?
- はい:転職活動と、実際に働き始めることは分けて考えます。面接できる時間と入社可能時期を整理して、Q2へ進んでください。
- いいえ。すでに内定があり、退職日・入社日を決める段階です:先に給付と在籍の区切りを確認したいので、Q2へ進みます。
- 報酬付きの試用、業務委託、副業もする予定です:面接とは扱いが異なる可能性があります。始める前に、今の勤務先とハローワークへ確認してください。
Q2. 育休の当初、または給付の受給資格確認時点で、すでに退職する予定でしたか?
- はい:育児休業給付は職場復帰を前提とするため、支給対象外となる可能性があります。自分だけで判断せず、今の勤務先とハローワークへ経緯を伝えてください。
- いいえ。受給資格の確認後に事情が変わりました:要件を満たせば、2025年4月1日以後に退職する場合、育児休業給付金は退職日まで支給対象です。退職したことだけを理由に、それまでの給付を一律に返す扱いでもありません。続いてQ3を確認します。
Q3. 退職後は、どの予定に近いですか?
- すぐに新しい会社で働く:退職日と入社日、今の勤務先での最終給付申請、新しい会社の社会保険加入日、保育園への届出をそろえます。
- 新しい会社で改めて育休を取りたい:必ず利用できるとは限りません。子どもの年齢、育休の分割回数、新しい会社の労使協定、雇用保険給付の扱いを、内定承諾前に確認します。
- 入社まで少し空く:健康保険、国民年金、保育認定の切替えが必要です。数日の空白でも、手続きが必要か各窓口へ確認してください。
1. 転職活動はできる。ただし「働く」ときは確認を
求人を見る、応募する、面接を受ける、提示された条件を比べる。ここまでは、内定先で実際に働くこととは別です。まずは、入社できる時期と、勤務時間・勤務地などの譲れない条件をメモしておきましょう。
気をつけたいのは、報酬が発生する仕事です。育児休業は、子どもを養育するために仕事を休む制度。厚生労働省は、休業中の就労を原則として想定しておらず、一時的・臨時的に働く場合も本人の合意が必要と説明しています。
育児休業給付には、1支給単位期間の就業が10日以下、10日を超える場合は80時間以下であることなどの条件があります。今の勤務先以外で働いた日数や時間も含まれます。
次のような予定がある場合は、「面接の延長だから平気」と考えず、始める前に確認してください。
- 報酬が出る体験入社やトライアル勤務
- 内定先から頼まれた研修や業務
- 業務委託、副業、アルバイト
- 定期的な就労や、育児より仕事が中心になる働き方
面接時間を相談するとき、家庭の事情を細かく説明しすぎなくても大丈夫です。対応できる時間と入社可能日を、事実として伝えれば十分です。
現在、育児の都合により、面接は平日10時から15時の間を希望しております。候補日は○月○日、○日、○日です。入社可能日は各種手続きの確認後、現時点では○月○日以降を想定しています。
伝え方に迷ったら、面接の時間制約、こう伝えるも参考にしてください。
2. 退職と入社。「一度復職」が全員の正解ではない
「育休中に転職するなら、必ず1日だけでも復職してから退職する」。そんな話を見かけることがありますが、厚生労働省の育児休業等給付Q&Aには、全国共通の支給要件としては示されていません。
大事なのは、復職したかどうかだけではありません。いつ退職を決めたか、新しい会社でいつから働くか、給付・保険・保育をどうつなぐかを一つずつ確認します。
| 今の状況 | まず確認すること |
|---|---|
| 応募・面接中で、入社先はまだ決まっていない | 退職日を先に固定せず、希望条件と入社可能時期を整理する |
| 育休開始後に退職を決め、新しい会社で働く | 今の勤務先の退職手続き、給付の最終対象日、入社日と勤務条件 |
| 退職後、新しい会社でも育休を取りたい | 新しい会社で育休を使えるか、子どもの年齢、分割回数、給付申請の可否 |
| 退職日と入社日の間が空く | 健康保険・年金の切替え、保育認定の変更届、家計への影響 |
| 保育園の入園・復職期限が近い | 市区町村の締切と必要書類。会社への連絡より先に確認する |
新しい会社で改めて育休を取りたいとき
法律上の育児休業は、原則として1歳未満の子どもを養育する労働者が対象です。ただし、転職直後には例外があります。
新しい会社が労使協定を結んでいる場合、継続雇用1年未満の労働者などを育休の対象外にしていることがあります。有期契約では、子どもが1歳6か月になるまでに契約終了・更新なしが明らかでないことも必要です。
また、雇用保険の育児休業給付も自動では引き継がれません。雇用保険の資格に1日の空白もなく転職し、新しい会社で改めて育休を取る場合、転職後の育休は分割取得として数えられます。すでに同じ子について2回育休を取得している人や、1歳または1歳6か月以後の延長期間中に転職する人は、新しい会社での給付を受けられないことがあります。手続きは今の勤務先と新しい会社で分かれるため、両社の人事と、それぞれの事業所を管轄するハローワークへ確認してください。
日付を決める前に聞いておくこと
今の勤務先には、次の5点を確認します。
- 育休終了日と退職日の扱い
- 育児休業給付の最終申請を誰が、いつ行うか
- 健康保険・厚生年金の資格喪失日
- 退職届の期限
- 貸与品、離職票、源泉徴収票などの手続き
新しい会社には、次の内容を書面で確認しましょう。
- 入社日と、実際に働き始める日
- 所定労働時間、勤務地、残業、在宅勤務、試用期間中の条件
- 社会保険・雇用保険の加入日
- 育児短時間勤務を希望する場合の対象条件と申出期限
- 入社直後から育休を希望する場合の扱い
条件確認には、内定後の条件交渉メール例文を使えます。退職日が決まった後は、退職交渉と引継ぎテンプレも参考になります。
件名:入社日および勤務条件の確認(氏名)
内定のご連絡をありがとうございます。現勤務先の育児休業・退職手続きと自治体への届出を確認したうえで、○月○日を入社希望日としております。労働条件通知書に記載の勤務時間、勤務地、試用期間中の条件、社会保険の資格取得日について、認識に相違がないかご確認いただけますでしょうか。
3. 給付金は「退職を決めた時期」と「働いた日」がポイント
育児休業給付金は、雇用保険の被保険者が原則1歳未満の子どもを養育するために育休を取り、休業開始前2年間に一定の月が12か月以上あることなどが基本条件です。
給付率は、原則として休業開始から180日までは休業開始時賃金日額の67%、181日目以降は50%です。上限があります。育休を取っている勤務先から、その休業期間を対象とする賃金が支払われた場合は、金額に応じて減額または不支給になることがあります。
2025年4月に始まった出生後休業支援給付金は、一定期間内に本人と配偶者がそれぞれ14日以上の対象育休を取るなどの条件を満たした場合、最大28日間、13%相当を上乗せする制度です。配偶者が無業、自営業、産後休業中などの場合には例外もあります。「育休を取れば、誰でも80%」ではありません。
新しい会社で時短勤務を始める場合
2歳未満の子どもを養育するために所定労働時間を短くし、賃金が下がる場合は、2025年4月に始まった育児時短就業給付金の対象になることがあります。給付額は原則として時短中に支払われた賃金の10%相当ですが、時短前の賃金を超えないための調整や上限・下限があります。
転職先で時短勤務を始める場合も、転職前の時短開始前より週の所定労働時間が短いなどの条件を満たせば、対象になる可能性があります。ただし、雇用保険の加入期間、離職中に基本手当等の受給資格決定を受けたか、申請期限、前職の勤務時間を示す書類などの確認が必要です。
転職しただけで受給できる制度ではないため、新しい会社の人事とハローワークへ確認してください。
育休中に退職するときの4つの分かれ道
1. 育休開始時から退職する予定だった
育児休業給付は職場復帰を前提とするため、育児休業給付金と出生後休業支援給付金の対象外です。
2. 受給資格の確認後に事情が変わり、退職することになった
要件を満たす限り、2025年4月1日以後の退職は、退職日までが支給対象です。
3. すでに給付を受け取っている
受給資格の確認時点で退職予定だった場合を除き、退職したことだけを理由に、それまでの給付を一律に返す必要はありません。
4. 休業中に実際に働いた
今の勤務先以外で働いた日数・時間も、10日・80時間の判定に含まれます。一方、今の勤務先以外から受け取った報酬だけで、給付額が直ちに減るわけではありません。育休を取っている勤務先から休業期間を対象とする賃金が支払われた場合は、その金額に応じて減額または0円になることがあります。就業日数・時間と賃金は、分けてハローワークへ申告・確認してください。
退職日、受給資格の確認日、退職を決めた経緯は、日付が分かる資料と一緒に整理しておくと確認がスムーズです。個別の支給可否はハローワークが判断します。
4. 社会保険。育休中の免除は、退職すると一区切り
会社員が育児休業を取っている間は、本人の申出を受けた会社が日本年金機構へ届け出ることで、健康保険・厚生年金保険料の本人負担分と会社負担分が免除されます。
毎月の給与にかかる保険料は、原則として育休を始めた月から、育休終了日の翌日が属する月の前月までが免除期間です。同じ月の中で育休が始まり、終了日の翌日も同じ月にある場合でも、その月に14日以上育休を取れば月額保険料が免除されます。
賞与保険料は条件が別です。賞与月の末日を含む、連続1か月を超える育休を取った場合に限って免除されます。
退職すると、今の勤務先での被保険者資格と、その育休に基づく免除は終わります。その後の手続きは、日程によって変わります。
| 退職後の予定 | 主な確認先・手続き |
|---|---|
| 翌日から新しい会社の社会保険に入る | 新しい会社に資格取得日を確認する |
| 入社まで空白がある | 健康保険は国民健康保険、任意継続、家族の扶養などを比較。年金は第1号または第3号への切替えを確認する |
| 新しい会社で改めて育休を取る | 新しい会社が育休の申出と社会保険料免除の届出を行うか確認する |
空白期間をつくらないことだけが、唯一の正解ではありません。ただし、健康保険の無加入日をつくらないことと、必要な資格変更を期限内に行うことは大切です。
なお、2026年10月1日から、1歳になるまでの子どもを養育する国民年金第1号被保険者の実父母・養父母には、国民年金保険料の育児免除制度が始まります。所得要件はありませんが、親子関係が続いていること、子どもと同じ住所で養育していることなどが必要です。産前産後免除期間がある実母はその期間に続く月、実父・養父母は養育を始めた月からが基本で、免除対象となるのは2026年10月分以後です。対象月は日本年金機構で確認してください。
これは国民年金の制度です。国民健康保険料まで自動で免除される制度ではありません。
5. 保育園の手続きは、市区町村にも確認を
ここは全国一律ではありません。保育の必要性の認定や利用調整を行うのは、市区町村です。
国の制度では、就労だけでなく求職活動や、育休中にすでに保育園を利用している子どもの継続利用が必要な場合も、保育を必要とする事由になり得ます。ただし、具体的な期限、必要書類、利用時間、優先順位は自治体ごとに決められています。
転職や退職の日付を決める前に、住んでいる市区町村の保育担当窓口へ、次の点を聞いておきましょう。保育園へ伝えるだけでは、認定変更の手続きが終わらない場合があります。
- 退職・転職・勤務時間の変更を、いつまでに届け出るか
- 退職後に「求職活動」へ変更して在園できる期間
- 新しい会社の就労証明書、内定証明書、復職証明書のどれが必要か
- 新しい会社で、いつまでに働き始める必要があるか
- 月の就労時間が変わると、保育標準時間・短時間や利用調整に影響するか
- 育休延長中の場合、転職日や復職日の変更が給付延長の書類に影響するか
就労証明書には国の標準様式がありますが、提出方法や追加資料まで全国共通ではありません。
また、2025年4月以降、保育所等に入れないことを理由に育児休業給付を延長する場合は、速やかに職場復帰する意思や、保育所等の申込書の写しなどもハローワークが確認します。保育園の手続きは市区町村、給付延長の手続きはハローワークへ。両方に確認するのがポイントです。
件名:転職に伴う保育認定・必要書類の確認
○○市 保育担当課 御中
現在、子どもが○○保育園に在園中です。○月○日に現勤務先を退職し、○月○日に新勤務先へ入社する案を検討しています。退職・転職の届出期限、空白期間中の認定、必要な就労証明書、就労開始期限、保育時間区分への影響をご教示ください。まだ日付は確定していないため、決定前に必要な条件を確認したくご連絡しました。
日付を決める前に、6項目だけチェック
- 新しい会社の入社日、勤務時間、勤務地、時短・在宅の条件を書面で確認する
- 今の勤務先に、育休終了・退職・最終給付申請の日程を確認する
- ハローワークに、退職日までの給付と、新しい会社で改めて育休を取る場合の扱いを確認する
- 市区町村に、在園・入園、求職中の猶予、就労証明書の期限を確認する
- 退職翌日から入る健康保険と年金を決める
- 回答と労働条件をメールや書面で残してから、退職日と入社日を決める
家族で希望条件と家計への影響をそろえるなら、家族会議テンプレ&合意チェックリストが便利です。退職日、有休、家庭行事を並べる段階では、内定後の退職日×有休、家族イベントと重なった時の段取りも参考になります。
よくある質問
育休から1日だけ復職しないと、退職できませんか?
一律に「1日復職」が必要とはいえません。厚生労働省の給付Q&Aは、育休開始時から退職予定だった場合と、受給資格の確認後に退職することになった場合を分けています。
就業規則上の退職手続き、給付、保険、保育園。それぞれの条件を確認して決めてください。
育休中の転職活動は、今の勤務先へ報告する必要がありますか?
応募・面接の段階と、退職する意思を伝える段階は分けて考えます。会社の情報や貸与端末を選考に使わず、秘密保持や副業のルールを守ってください。
退職日や給付申請に影響する段階になったら、就業規則に書かれた期限に沿って人事へ連絡します。
試用期間中でも、時短勤務や在宅勤務は使えますか?
時短勤務と在宅勤務は、別の制度です。
3歳未満の子どもを養育し、所定労働時間などの要件を満たす労働者には、法律上の育児短時間勤務制度があります。ただし、労使協定によって継続雇用1年未満などの労働者が対象外になることがあります。
在宅勤務、フレックス、試用期間中の個別条件は会社の制度によるため、内定を承諾する前に書面で確認してください。
どこへ問い合わせればいいですか?
- 育児休業給付、転職前後の雇用保険:事業所を管轄するハローワーク
- 育児・介護休業法上の育休:都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)
- 健康保険・厚生年金の免除:勤務先の人事、年金事務所、加入する健康保険者
- 保育認定、在園継続:住んでいる市区町村の保育担当課
まとめ:日付を決める前に、3か所へ確認しよう
育休中でも、応募や面接は進められます。ただし、退職、入社、実際に働き始めることは、育児休業給付、社会保険、保育園へそれぞれ別の影響があります。全員が「復職してから退職、そして入社」という同じ順番にする必要があるわけではありません。
最初に整理するのは、退職を決めた時期、新しい会社で働き始める日、新しい会社でも育休を使うか、住んでいる自治体の保育園ルールです。
今の勤務先と新しい会社の人事、ハローワーク、市区町村へ確認し、回答をメールや書面で残してから、家族に無理のない退職日と入社日を決めてください。
公式情報・確認日
以下はすべて、2026年8月21日に確認しました。
- 厚生労働省「Q&A~育児休業等給付~」(令和8年8月版。Q11、Q31、Q33・34、Q50・51、Q57・58、Q61、Q93・94など)
- 厚生労働省「育児休業等給付について」(令和8年8月1日改訂資料を掲載)
- 厚生労働省「育児休業」(対象者、労使協定による除外、申出期限)
- 厚生労働省「短時間勤務等の措置」(3歳未満の子ども、対象条件、労使協定による除外)
- 厚生労働省「育児休業中の就労について」
- 東京労働局「第12章 育児休業給付について」(今の勤務先以外での就業日数・時間と、賃金による減額の区別)
- 兵庫労働局「育児休業中に転籍(転職)した場合の手続きについて」(雇用保険資格に空白がない転職、分割取得、申請先)
- 日本年金機構「従業員が育児休業等を取得・延長したときの手続き」
- 日本年金機構「会社を退職したときの国民年金の手続き」
- 日本年金機構「2026年10月から国民年金保険料の育児免除制度が始まります」
- こども家庭庁「よくわかる『子ども・子育て支援新制度』」
- こども家庭庁「就労証明書に関する情報」(標準様式は2026年8月5日更新)
※制度改正、個別の雇用契約、労使協定、健康保険者、市区町村の運用によって扱いは異なります。この記事は法律相談や、個別の支給を保証するものではありません。

