試用期間がある転職先では、「期間が何か月か」だけでなく、給与・手当・雇用形態・勤務時間が本採用後と同じかを、承諾前に書面で確認します。厚生労働省の案内でも、試用期間中と本採用後で労働条件が異なる場合は、それぞれの条件を明示する必要があるとされています。まず求人票と労働条件通知書を横に並べ、差がある項目へ印を付けましょう。
試用中と、その後を分けて確認する
- 書面を並べる:期間・雇用形態・給与・勤務時間の違いに印を付ける。
- 会社へ聞く:条件が変わる日と、変更後の額が入る給与日を確認する。
- 家族と点検する:その間の収入と送迎などの予定を照合し、未定事項を残す。
求人票の「試用期間あり」だけでは判断せず、不明点は承諾前に書面で質問します。
試用期間は「本採用前の無給期間」ではない
厚生労働省の「確かめよう労働条件」では、試用期間を、採用した人の能力や勤務態度などを評価し、適格性を判断するための期間と説明しています。試用期間中の給与を本採用後より低く設定すること自体が直ちに違法とは限りませんが、最低賃金を下回ることは原則として認められず、法定労働時間を超える労働には、原則として割増賃金が必要です。
また、試用期間だから自由に解雇できるわけでもありません。厚生労働省の裁判例解説では、試用期間中の解約権の行使にも、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要と整理されています。個別事案の結論は事情で異なるため、不安がある場合は労働局などの相談窓口を利用してください。
健康保険・厚生年金も、「試用期間だから加入しない」とは一律に決まりません。日本年金機構は、適用事業所に雇用される人が加入要件を満たす場合、試用期間であっても資格取得の手続きが必要と案内しています。日本年金機構の2026年度の年金制度説明会資料でも確認できます。実際の加入日と適用条件を会社へ確認します。
求人票ではなく、契約時の書面で確認する
厚生労働省は、求人票を募集時の条件の目安とし、労働基準法上の労働条件の明示は、採用する本人へ交付される書面などで行うものと説明しています。求人票だけを保存して終わらず、労働条件通知書や雇用契約書を受け取って比較します。
| 確認項目 | 試用期間中 | 本採用後 | 質問するポイント |
|---|---|---|---|
| 期間・延長 | 開始日〜終了日 | — | 延長の条件と通知時期 |
| 雇用形態・契約期間 | 雇用形態(正社員等)と契約期間(有期・無期) | 雇用形態(正社員等)と契約期間(有期・無期) | 自動で切り替わるのか、手続きがあるか |
| 基本給 | 月額・時給 | 月額 | 差額と変更日 |
| 固定残業代 | 金額・対象時間 | 金額・対象時間 | 超過分の扱い |
| 家族・住宅・通勤手当 | 支給有無 | 支給有無 | 対象条件と申請日 |
| 賞与・昇給 | 算定対象か | 算定対象か | 入社時期による扱い |
| 勤務時間・休日 | 時間・休日 | 時間・休日 | 研修中だけ異なるか |
| 勤務地・業務 | 場所・担当 | 場所・担当 | 変更範囲と転勤の有無 |
| 社会保険 | 加入日・適用条件 | 加入状況 | 会社側の手続き予定日 |
内定時に届く文面全体の確認順は、内定メールで見る条件と返信期限にまとめています。今回の記事では、その中でも試用期間と本採用後の差に絞ります。
家計に影響しやすい5つの差
1. 基本給が本採用後より低い
「月給」だけでなく、基本給、固定残業代、各手当を分けて確認します。試用中の対象期間と、変更後の額が実際に入る給与日を確認し、その間の手取り差を家計側で見積もり、年収ダウンの家計シミュレーションへ反映します。
2. 家族手当・住宅手当が対象外
手当の名称が求人票にあっても、自分が対象とは限りません。試用中の扱い、扶養人数や住居の要件、申請日、初回支給月を確認します。
3. 条件の差・本採用への切替・有期契約後の登用を分ける
「3か月後に本採用」と言われたら、まず最初に結ぶ契約が「期間の定めなし」か「期間の定めあり」かを見ます。そのうえで、同じ契約の中で給与や手当が変わるのか、契約満了後の登用を別に判断するのかを確認します。「正社員」「本採用」という呼び方だけで決めないでください。
次は、質問する場所を分けるための編集部の仮例です。すべての会社を3種類に分類する表ではありません。1と2の両方に当てはまる場合もあります。3か月という期間も例であり、標準期間を示すものではありません。
| 説明のケース | 書面で照合する前提 | 承諾前に確かめること | 追加する確認文 |
|---|---|---|---|
| 1.試用中だけ給与などが異なる | 期間の定めなし。試用中と終了後で基本給が異なる | 試用中・終了後それぞれの額、固定残業代・手当の内訳、差が続く期間、変更した額が初めて入る給与日 | 「試用中の【項目】は【条件】、終了後は【条件】でしょうか。変更の適用日と最初の支給日も確認させてください」 |
| 2.本採用の判断後に条件が切り替わる | 期間の定めなし。本採用の判断後から家族手当などを適用するとの説明 | 判断時期・基準・通知方法、手当等の適用日、必要な申請、延長する場合の条件。日数の経過だけで切り替わるとは考えない | 「本採用への切替はいつ、どのように決まり、通知されますか。【手当】の適用日と申請手続き、延長時の扱いも教えてください」 |
| 3.3か月の有期契約後に登用を検討する | 最初の契約期間は3か月。満了後の正社員登用を別に判断するとの説明 | 契約満了日、更新の有無・判断基準・上限、登用の判断時期と条件、登用されない場合の取扱い、登用後の契約期間と労働条件 | 「最初は【開始日〜満了日】の有期契約でしょうか。満了後の更新と登用はそれぞれどう判断され、いつ通知されますか。登用されない場合の扱いも確認させてください」 |
栃木労働局の2026年度版資料でも、試用期間と本採用が一つの契約であっても条件が異なる場合は、それぞれの条件を明示する扱いが説明されています。また、厚生労働省の労働条件通知書モデルには、契約期間、更新の有無・判断基準・更新上限を確認する欄があります。上の表は、それらを自分の契約で確かめるための質問例です。
回答は「入社時の条件/変更または登用を判断する日/決まった後の条件/まだ未定の部分」の4行にまとめます。家計は、決まっていない手当や登用後の給与を先に足さず、確認できた条件で回るか点検してください。契約満了後の雇用自体が未確認なら、金額だけで計画を完成させず、まず更新・登用の回答を求めます。個別契約の法的な性質や終了の適否は、この表だけでは判断できません。
4. 研修中だけ勤務地・時間が違う
本採用後は自宅近くでも、試用期間中は別拠点で研修する場合があります。送迎、介護、交通費に直結するため、開始・終了時刻、出社頻度、勤務地を確認します。
5. 賞与・昇給の算定期間から外れる
「賞与あり」だけで受取額や初回支給は判断できません。算定期間、在籍要件、試用期間が算定対象かを質問します。将来の支給を保証する表現ではなく、規程と実績の説明を分けて確認してください。
試用終了日と、手取りが変わる日を分けて確認する
編集部の想定例:試用期間の終了後に手当が適用されるという説明を受けた場合です。終了日からすぐ振込額が変わると置かず、適用条件と給与への反映を聞きます。
- 条件変更は、日付の経過か本採用の判断か、どちらを前提にするか
- 手当の申請が必要か、必要ならいつまでに出すか
- どの勤務分から適用され、最初に入る給与はいつか
本採用の判断・条件の適用・給与の振込を別々に確認してください。家計には回答で確認できた日付を使い、まだ決まらない手当は確定収入と分けます。
承諾前に送る確認メール例
編集部の運用例
件名:試用期間中の労働条件についての確認(氏名)
お世話になっております。内定のご連絡と労働条件のご案内をいただき、ありがとうございます。
家族と入社後の生活を確認するため、試用期間中と本採用後の条件について、次の点をご教示いただけますでしょうか。
1. 試用期間中の基本給と各手当の内訳
2. 本採用後に変更となる条件と変更日
3. 試用期間の延長がある場合の条件と通知時期
4. 入社時の契約期間の有無と、本採用への切替の判断・通知時期可能でしたら、労働条件通知書または書面で確認できる資料をご共有いただけますと幸いです。回答を確認のうえ、期限までにご連絡いたします。
どうぞよろしくお願いいたします。
質問項目を増やしすぎず、差がある3〜5項目に絞ります。交渉も必要な場合は、年収・残業・在宅の条件交渉メール例と分け、まず事実確認、その後に希望を伝えます。
回答が曖昧なときの判断順
- 求人票・内定メール・労働条件通知書の表現を並べる
- 「試用中」と「本採用後」で違う項目だけ質問する
- 電話回答は、自分の理解を書いた確認メールを返す
- 家計・送迎・勤務地に影響する差を家族と共有する
- 解消しない場合は、承諾期限の相談または辞退を検討する
家族への共有は、内定後の家族会議チェックを使うと条件の見落としを減らせます。エージェント経由なら、企業へ確認してもらう項目と、自分で判断する項目を分けましょう。
条件差が解消せず見送る場合は、エージェントから紹介された求人を断る返信例を使えます。別の支援先を検討する場合は、30代・家族持ち向け転職エージェント比較で向く人・向かない人を確認してください。
今日やること
労働条件通知書を開き、「期間」「基本給と手当」「雇用形態」「勤務時間・勤務地」の4か所へ印を付けます。本採用後との違いが書かれていない項目だけを、上のメール例に入れてください。回答期限が近い場合も、分からないまま承諾せず、確認に必要な時間を相談します。
公式情報・確認日
- 厚生労働省|採用時に明示する労働条件
- 厚生労働省|求人票と実際の条件が違う場合
- 厚生労働省|労働条件等の明示について(PDF)
- 厚生労働省「確かめよう労働条件」|試用期間の基礎(PDF)
- 厚生労働省「確かめよう労働条件」|試用期間の裁判例
- 日本年金機構|厚生年金保険の資格取得時期
確認日:2026年10月5日。本記事は一般的な確認手順であり、個別の契約が有効か、解雇が適法かを判断するものではありません。契約書の内容や会社の対応に不安がある場合は、都道府県労働局の総合労働相談コーナーなどへ相談してください。

